夏合宿 in 真庭 Part2

合宿二日目。お天気にも恵まれて、宿泊先から体育館までの道中は森の木々や空の青さに目を奪われながらの移動となりました。夏らしい風景を前に、自然と表情も緩みます。

到着後は清々しい空気の中、丁寧に体をストレッチするところから合宿二日目がスタート。

しっかり呼吸をし、体の各部位を伸ばしていくと全身が緩んでいくのを感じることができます。

 

ストレッチにより体がほぐされたところで、前日から引き続き脱力のワークへと移っていきます。

体が立っている状態のところから、一気に全身の力を抜きフロアまで。立つ時は体の中心部分のエクステンションを感じながら、首、肩、手、足には余計な力を入れないように、体を上と下に引っ張るように立ちます。そこから一気に脱力。床に上半身が落ちるとともに、その落ちていく力は両手足、頭へと放射状に抜けていきます。

「床に落ちる」と聞くと痛そうなイメージがしますが、力が抜けていると自分でも驚くほど楽にフロアに大の字になることができます。この動きをする時にイメージとして「豆腐を高いところから落とすと、床についた瞬間に潰れて放射状にきれいに広がる。」ということを言われます。落ちていく力が均等に外へと広がっていくことで、抵抗が一番少ない状態を作ることができます。引っ張る、落ちる、そして広がる。その動きを繰り返す中で、脱力した状態を全身で感じていきます。

午前からのワークが終わり、お昼休憩。午後は小暮香帆さんによるWSからスタートしました。「昨日の振りの続きを作りたいと思います。」という小暮さんの言葉から、まずは、昨日の振りを思い出していきます。感覚が徐々に戻ってきたところで、続きとなる新しい振りがつけられていきます。昨日までは全員同じ振りで構成されいたのですが、二日目からは個々に振りがつけられていきます。

大きな空間の中で点在している自分と他者の体との関係。動いている時、動いていない時、視界から外れたところで起きている出来事があったり、そこから突如合流して同じ動きをしたりと、一本の大きな川の流れから、複数の流れに分かれ、また合流一つの川の流れになっていくような感覚を覚えました。

最終的に15分程の小作品となり、一つの振りが繋がり、作品となっていく過程を、ソロを終えたばかりのこの時期に体験できたのはとても良い経験となりました。小暮香帆さんのWSについてはまた別の記事で詳細をご案内したいと思います。

小暮さんのWS後は、いよいよ合宿最後のカリキュラムの時間に。

最後のカリキュラムでは「見る」ことに意識を持ったワークを行い、視線を移すことを基本から見直す時間となりました。

私達は何かを「見る」時、目玉を動かすだけでは限られてしまう視野をさらに広げるために体の向きや、角度を変えて、そのものを見ようとしますが、その時「見る」対象物に意識を集中させがちで、体がどういう動きをしているかまではあまり意識されていません。

最後のワークではそれを徹底的に意識していきます。地点Aを出発して、地点Bへ向かって歩く時、地点Aでは真っ直ぐに立って目線は水平の状態から、地点Bの床を見つめて進んでいきます。ほぼ真っ直ぐの形状をとっていた首の骨は最終地点では湾曲し、顔は下を向いています。歩幅、首が曲がり始めるタイミング、何度も繰り返す内に、それらは常に同じタイミングで形状が変化していることに気づきます。

目線の先を、様々な方向に変えていくことで、同じAからB地点の間を歩きつづける中で体の動きが変わっていくことに気づきます。動いてから「見る」のではなく、「見る」ことで動く、という違いに気づけたことはとても大きなことでした。見るために様々に形状を変化させていく体の各部位。ねじる、曲がる、持ち上がる、「見る」ための生まれた体全体の動きを意識して、それを再現していきます。

「周りを見て動く」ことを意識しながらも、多くは動いた後に周りを見ていた自分にこのワークで気づきました。「見るために動く」体から生まれる動きは、意識しなくても自然さと、必然性を伴っているように感じました。踊ることは、考えて動くものではなく、その時、その瞬間に起きることを見て、感じるところから生まれるものだということを、あらためて視線という切り口から感じました。シンプルでありながら、大切なことを多く受け取った時間となりました。

 

そして、つい締めの時間。夏合宿最後のサーキット。

一泊二日の短い合宿でしたが、いつもとは違う環境でのワーク、特別講師の小暮香帆さんによるWS、寝食を共にした時間など、変化と刺激を多く得た二日間となりました。

この二日間を経験したということが、最後のサーキットでの動きに現れていたように感じます。

次回公演となるグループ公演、そしてM・L・I 2017年度修了公演へと向けて、さらに自身の表現に向かっていこうという思いを新たに持ちながら、今年の合宿も無事に終了できたこと、この二日間を共にできたことへ感謝の気持ちでいっぱいです。今回の合宿もとても良い時間となりました。

(田中麻美)

 

学校の周りは緑の山々に囲まれています。空気が気持ちいい。

広い体育館を使ってのサーキット。

いつものスタジオとは比べられない程の大きさ。普段とは違う環境を楽しみながら踊ります。

お世話になった体育館。ありがとうございました。