6月17・18日、solos...Vol.1「DEN」の上演を前に、小暮香帆さんによるワークショップが開催されました。
ワークショップ1日目は、まず身体をほぐしていくところからスタート。
床に仰向け寝転び頭蓋骨と背骨が繋がっているところ(触ってみると少し窪んでいるところ)を両手の人差指で優しく触れながら探します。見つかったらそこを軽く押して、その部分を身体で確認。確認できたら手を離し、その部分を意識しながら頭を自然に任せてゆっくりと動かしていきます。動いているのは頭だけ。その重さを感じながら、重みによって自然に行きたくなる方向へと逆らわずに動かしていきます。
頭の重さを感じられたところで徐々に頭の動きを背骨へと伝えていき、頭→背骨→全身へと動きが繋がっていくのを感じながら、左右ゴロゴロと寝返りをうつように、あくびが出てくるぐらいリラックスしながら動いていきます。(実際にしっかり力が抜けた状態でできているとあくびが自然に出てくるそうです。)すると首の力が抜けて頭が浮かんでいるような感覚になり、首に余分な力が入っている状態が和らぎます。
リラックスできたところで、次は全身を広げていくようなストレッチ。
足先から骨と骨の間を広げていくように、触っていきます。足の甲、足裏、足の指、細かな骨に一つずつ触れてほぐしていきます。下から上に向かって緩めながら、骨と骨の間を広げていくようにストレッチが進みます。
激しい動きではないけれど、終わると身体の中からジワジワ汗が出てきて、「岩盤浴をした後みたい」という感想が出るほど、皆いい汗をかいていました。
メインワークでは、ペアになり片方の手のひらを上下で合わせて、手が上の人が目をつむり、下の人がガイドをして相手を動かすというところから、お互い目を開けた状態で双方が指示を出せる→触れている箇所が手のひらから身体の各部位に→触れているところから少しずつ離れる、というように、徐々に条件を解除していき動きを展開させていきます。お互いに会話をするように動きをやりとりし、そして二人で終わりを決める。ペアでしたことを3人に人数を増やし同様のワークを行いましたが、一人増えたことで互いにやりとりする情報が一気に増え、ペアの時とは全く違う感覚でした。ワーク後のディスカッションでは、「目をつむった状態でガイドがあった時の方が何も考えずに動けた」「ガイドの動きを読み取っているつもりが、気づくと自分で動いているような気がしてきた」など様々な意見が出てきました。
この他にも、心の中で決めた二人と自分とで正三角形を作るようフロアーを全員が移動するワークや、全員で輪になり一人一人が誰に向けてということもなく動き、そこから動きの会話に持っていくワークを行いました。
いずれのワークも自分の意思を持って動くこと、自分で発する強さ、また相手が発するものの受け取り方、これらにより様々な関係性生まれ、それが動きになって現れ、言葉というツールでなくともつながりあえるという面白さに改めて気づいた時間となりました。
2日目。昼間のWS開催だったので、昨日とはまた気分も変わり日光を感じながら緩やかに時間が過ぎていきました。
ストレッチの後はの昨日のワークに加えて、Itとyes/noというワークも行いました。
Itは何人かで円になり、目線だけでコミュニケーションをとり、誰か一人をターゲットに決め、合図があったら皆でその人に向かい、床に倒すというワーク。目線を動かすというわずかな動作で、お互いにコミュニケーションをとり共有の目的を作り出し、実行するというのは最初難しく、合図と同時に全員がバラバラな目的に向かうという場面もありましたが、わずかな動作から生まれる大きな動きの面白さを感じることができました。
yes/noは言葉の通り、イエス・ノーだけで会話をする。互いに向き合い、会話をして、決着をつける。お互いが同意しても、決別してもよく、とにかくイエス・ノーを使った会話で決着をつける。これは人によって、組み合わせによってすごく変化があって面白い。声の大きさ、ささやいたり、強く言ったり、何度も繰り返し言ったり、揺れたり、迷ったり、いろんな心情が言葉と身体に現れてきます。発する言葉が少なくても身体から発せられる言葉の情報量の多さ。身体は多くを語っていて、それをどれだけ聞けて、どれだけ聞いたことを返せているのだろう。小さな動きから生まれる多様な現象に多く気づかされたワークでした。
二日間のワークショップはあっという間に終わりました。些細なサインを見逃さず、身体で伝えて、身体で受ける。お互いを受け入れたり、時に反発したりしながら、常に向き合う。そんな姿勢を強く感じる経験となりました。小暮香帆さん、ありがとうございました。
田中麻美
1989年生まれ。これまでダンサーとして笠井叡、笠井瑞丈×上村なおか、三浦宏之、Dance Theatre LUDENS、岩渕貞太、近藤良平などの作品に出演。国内のほかイタリア、インドネシア、メキシコツアーに参加。2012年日本女子体育大学舞踊学専攻卒業後、本格的にソロ活動を開始。ソロ公演「遥かエリチェ」(2013)、「ミモザ」(2015)を発表。またLIVE、映画、MVに出演するなど、活動は多岐にわたる。第2回セッション・ベスト賞受賞。2015年横浜ダンスコレクションEX2015 コンペディションⅠ 奨励賞受賞。めぐりめぐるものを大切にして踊っている。http://kogurekaho.com
ストレッチ風景
一つのワークごとに意見交換
二日目。Itの様子。
yes/noの一場面
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